私の彼は御主人様

『馬鹿だとは思っていたが、本当に馬鹿だな』


ポケットから生徒手帳を出してひらひらさせる。


『あーっ!あたしの』


取り返そうとするとひょいっとかわされた。


『今日一緒に帰る。部活が終わったら来い』


『へあ?』


ノワールが長身の体を折り曲げあたしの目線に合わせて言った。


耳元に微かに唇が触れる。

『貴様はもう、僕から逃れられない』


人差し指でうなじをすいっ、と撫で囁く。


最悪の最悪。