『またな、ケルベロス…それから 』


ノワールが息子の小さな手をそっと握りしめる。


『ルージュ、行こうか』


『うんっ!』


律が二人を優しく、包み込む様に見詰めている。


『母様はこっち』


空いている片手を律に差し出しルージュが満足そうに頷く。


『ごきげんよう。ノワール様、律様、ルージュ様』


家族三人仲良く歩く後ろ姿を。


ケルベロスは見えなくなるまでずっと。


ずっと、


微笑みながら見送っていた。