『捕まえたっ! えいっ! 』

ケルベロスに馬乗りになるとすかさずくすぐる。


『やめっ、やめて下さい!くっ…くくっ』


見事な黒い毛皮が逆立ち、尻尾がぱたぱたと降参する様に振られた。


『こら、ケルベロスを困らせたら駄目でしょ? 』


『母様っ...遊んでただけだよ? 』


ほっぺたを膨らませてそれでも余程楽しかったのか、男の子は顔を上気させ笑う。


屈託のない笑顔。