私の彼は御主人様

『奴は僕の友人達を傷つけ、律にもあんな酷い事を』

普段はクールな表情を崩さないその顔は今は怒りで強ばってる。ルージュは本当に酷い事をしたのかも知れない。でもあの悲しそうな顔…あたしには嘘には思えなかった。


『思うんだけど…ルージュは上手に感情表現できないんじゃないかなぁ。自分を見て欲しくてあんな事するんじゃ…』


『どうしたんだ律、あんなに嫌ってたのに…何があった? 』


ノワールが激しい口調であたしの両腕を掴んだ。


(やっぱり夢の事、言おう)


『あたし、昨日…』


『待て! 』


ノワールがあたしから視線を外して一点を見詰めながら言った。