『律の血は特別だ』


『うん』


それだけで十分。


『だがそれは僕が律を特別だと思うからだ』


『え? 』


ノワールがいつものようにあたしの顎を指先で持ち上げ視線を合わせる。


『僕は決して律の血は飲むまいと思っていた。君は好きな人がいたし、欲望にまかせて君を傷つけたくなかった』


(それって)


『僕は一生好きな女の血を吸う事はないと思っていた。そんな贅沢、僕には許されないと』