おともだち

 ――気さくさ、って何だろうな。

 一時下がったものの、再びテンションの高い女性たちに若いなぁ、なんてぼんやりと視線を向けていた。
 オフィス街の食事処に不似合いな雰囲気に、周りの目が冷たく感じて窘める。

「もう少し声のトーン下げようか」
「はぁい」

 彼女たちはわずかばかり音量を下げた。今度から誘われようが飯は一人で行こう。全然休んだ気しないし、ずっと質問されるのもしんどい。かといって、同僚とあれば邪見にも出来ないし、こっちから質問するほど興味もなく何となくやり過ごすしかなかった。ちょっと俺とはカラーが違う気がする。浮いてない?ここにいて俺。

 多江と初めて飲んだ時は好意が無くとも楽しかったのに。馬が合うというか、やっぱフィーリングか、それか多江が()()()()()()って感じなのかな。多江も……。

「宮沢さん、聞いてます? 」
「あー、うんうん」
「でね、でね、」

 食べ終わっても席をまだ立つ気はないらしい。聞いてるけど、全然頭に入って来ない。仕事で会った時はもうちょっと落ち着いた感じかと思ってたのに。素はこんなんなんだな。いっか、もう。どんなイメージ持っても。ふーっと息を吐いた。

「俺、今度から昼は一人で取るわ、それか、俺の同期とか。その方が君たちも楽しいだろうし。……あー、俺も気が楽。じゃあ、先に帰るね」

 そう言って席を立った。きょとんとした顔が見えたけど、何でもいいや。仕事ではよろしく、それだけのこと。向いてないわ、適当になれ合うの。


 コーヒーでも飲んで帰るか。スマホを確認するとまだ少し時間があった。セルフのカフェか、自販機か……。少し悩んでセルフのカフェに向かった。疲れたしカフェのテイクアウトに軍配が上がった。