おともだち

「だいたい宮沢さんに告白されて断る人いないでしょう」
「そうだ、そうだー! 宮沢さん振られたことないでしょう」

 小柴さんが煽ってきて、飯行きたいのにそこに留まらせて進ませてくれない。甲高い声が階段に響く。あと、ちょっと今その()()()()()()()()はクルものがある。

「あるよ、ある」
「え、嘘でしょ。何で」
「何でって、あー……何で? そうだな、求めるものが違う、というか、単純に俺に好意が無かったんじゃない? 」

 って、これ真面目に答えるだけ損だよな。そう、求めるものが違った。あの時は、だけどな。今はどうだろってことを一人でじっくり考えたかったんだよ。
 
「それで、宮沢さんどうしたんですか? そのまま諦めたんですか? 」

 何か、笑えて来た。何で俺囲まれてんの。
 
「まさか」
「何ですか、宮沢さん、その悪い顔」
「あ、わかった。絶対に惚れさせるんだ! 」

 な ん で お ま え ら に 答 え な きゃ な ん な い ん だ よ!
 
「わぁ! 宮沢さん結構悪い感じですか? 相手が宮沢さんを好きになったらどうするんですか」
「キャー、振った腹いせ、復讐!? 」
「ははは、ほら、昼休み終わっちゃうよ、行こう」

 変に盛り上がる彼女たちを押しやった。何て答えても面白おかしく噂になるんだろうけど。

「そうだなぁ、相手が俺を好きになったら」

 ……なってくれたら。

「めちゃくちゃ大事にする」

 そりゃそうだろ、好きな子――なんだから。

「あ、そっか。そうですよね」

 ちょっと苛立ちを顔に出すと、しゅんとして、いいなぁ、なんてそれぞれが口にした。

「普通だよ。結構普通。そうじゃないの、みんな」


 俺にどうあって欲しいんだよ。イメージとやらはなかなか払拭するのも大変だ。