おともだち

 この関係は、双方が納得して割り切れるなら成り立つ。納得するってことは恋愛ほど気持ちが無いってことなんだろうけど。
 よくわからなくなってきちゃった。私のタイミングで側にいて欲しい時だけ会いたい人かぁ。私は栄司からの誘いが無いことにわずかに寂しいと思うようになっていた。栄司が誘うまでもなく私が誘っているからだよね。私が誘わなくなったら、向こうから誘ってくれるよね?

 結局私は自分が望んだ関係をうまく受け入れられてなかった。
 考えすぎちゃだめだってわかってるのに……。単に今を楽しむって難しいな……。

 もやもやを解消するのには誰かに話すのが一番だ。誰かって奈子しかいないんだけど。
 栄司との関係なんて奈子にしか言えっこない。

 ――飲みたい気分だと伝えると、奈子は缶チューハイを持って秒でやって来た。本当に秒で。
「ちょうど多江の話を聞きたかったんだよねー。セフレに同僚選ぶなんて、多江って結構スリルを味わいたい人だったんだね」
「いや、それがさあ……」
 私は自分の今の心情を話す前に、栄司との関係を事細かに説明することにした。その前に一言、先に言っておくべきことを伝えようと思う。

 奈子は絶句した。で、すぐに叫ぶ。
「何ぃ、まだやってないだとー!? 」
「ちょ、うるさいって」
「何で、何で。それってセフレじゃないじゃん」
「だよね……」

 確かにそうだ、ふうと息を吐いて説明を始めることにした。始まりは、私が彼からの告白を提案と勘違いしたからだった。あの時、私が栄司からの告白を受け入れていたとしたら、こんなに悩まなかっただろうか。それとも、今までの恋のようにどこかで疲れてしまっていたのだろうか。