おともだち

「だ、だって。これからどうなるのって思うし。それが終わったらどうなるのって思うし」
「多江、仲の良い友達いる? 」
「あ、うん。幼馴染の、女の子だけど」
「うん。その子とは学校が同じで知り合ったんだよな」
「まぁ、かなり前だけど」
「多江って、同じクラスで仲いい友達とクラス分かれたらどうしよーって年明けには心配してるタイプだろ」
「う……」

 その通り過ぎて何も言えなくなった。
「で、クラス分かれて何か問題でも起きた? 」
「えっと、クラスには新しい友達が出来たし、前の仲良かった子とも関係は続いたし、忘れ物した時なんかは他クラスの子から借りられてよかった」
「うん。な? 何とかなるんだよ。何とか。その時々。そん時考えればいいじゃない。元カレとだって“セ”のつかない純粋な友達になることだってあるだろ。俺たちだって。セフレは3か月更新だけど、セフレじゃなくて違う関係で継続してるかもしれないし、何らかの原因があって継続不可になってるかもしんないし。わかんないよ」
「ごめん、何度もうじうじしちゃって」
「いや、いいよ。慎重かつ保守的ってとこかな。多江の性格わかってきた。会社の飲み会ではもっと、うーん、楽観的なのかなって」
「……そう、かもしれない。……ごめん」
「はは、いいって。前はただの同僚。同僚でも同い年だってわかればまた違う感じで話すし、プライベートで会うとなるとまたもうちょい違う自分を出すし、俺とは、そっからまた2、3歩進んだ関係ってことかな。これからまた違う一面が見れんのかと思うと悪くないよ。多江がしんどくならなければ、俺は別に」
「うん。私も。栄司の印象変わってる。栄司は、いい方向にだけど」
「……そ? じゃ、いいんじゃない」
「ちょっと、口は悪くなった気が」

 そう言うと宮沢くんはハッと笑い眉を下げた。そして、悪くもなるだろ……そう言った気がする。すごく小さな声だったけど。