おともだち

 俺の思う同じ気持ち=多江も俺を好き。
 多江の思う同じ気持ち=俺も()()()()と思っている。

 がっくりと膝ついて床で頭打ちたいくらいだ。多江を見ると、恥ずかしくて真っ赤になって、うるうるした目で俺を見上げて、俺が何か言うのを待っていた。更新する気だ、こいつ。『セフレ』を更新して()()()()セックスする気だ。

「……座ろうか」
「あ、うん。お茶でも入れるね」
「ああ、お願いできる? 」

 多江はすぐにでもベッドに行くと思ったのか、拍子抜けした顔をしている。

 横並びに座ると、ちゃんと顔を見るように言う。

「更新、しないよ。セフレは」
「……うん」
「かわりに、付き合って欲しい。多江が好きだから」

 でも、だって、私……。そう返ってくることは予想出来る。でも、俺だってもう引けない。

「わた、わたしも、付き合って欲しい。ちゃんと。栄司が好きだから」

 予想外すぎて、は?と言ってしまった。

「いいのか、ほんとうに? 」
「うん。もう、曖昧な関係は嫌だ。だって、栄司が他の人と付き合ってしまうかもしれないのは、嫌なの」
 いじらしくて、愛おしさが胸にこみ上げる。
「俺はずっと多江が好きだって言ってるだろう」

 取り戻した理性がまたどこかに行ったみたいで、その隙にぎゅうぎゅう抱きしめてキスをする。

「ずっとこうしたかった」
 キスの合間にそう溢した。多江が、私も……と小さな声で言った。

 多江が安心しきって俺に身を委ねて来る。フロアソファは、すぐにそんな雰囲気になりそうで忍耐強いられていたけど、今は何ていい物なんだと思う。いいな、これ。