ようやく仕事の目途がついて息を吐いた。

 月曜の朝一番で報告が必要な事柄をまとめておく。メールの下書きをつくるとパソコンを閉じた。

 会社を出て、スマホを確認する。通知0を不審に思ってメッセージアプリを開く。……誰からも返信が来ていない。

 既読がついていたらいいか、と加賀美くんのトークルームを開くと既読もついていなかった。メッセージ、読んでない。スッと血の気が引く。どれだけ待たせているんだろう。時間はすでに9時を回っていて、慌てて電話をかけるが繋がらない。待ち合わせに向かった方がいいかもしれない。とはいえ、今からだと30分ちかくかかりそうだ。


 移動しながら栄司のトーク画面を開く。こちらも既読がついておらず、電話をかけるも繋がらない。何で?何でなの。気持ちばかり焦る。通信会社、エラーでも出ているのかとニュースやSNSをチェックしてみるがそれらしい情報はなく、単に二人が確認していないのだろう。

 はぁ、と電車の中でため息を吐く。焦っても仕方が無いんだけど。何かあったんじゃないよね。

 加賀美くんとの待ち合わせ場所にいくと、見知った顔が朗らかに手を挙げた。

「おー、忙しかったんだな。お疲れさん」
「ごめんね。遅くなるから今日はキャンセルしようってメッセージ送ったんだけど」
「あー、そうかなって思ったんだけど、俺今日スマホ家に忘れて。仕事はタブレットあるから平気だし、いっか、と思って」
「ごめんなさい。ごめ……」
「いいよ。もうちょっと待って適当に変えるつもりだったし。報告書とかブログ書いて過ごしてたし」
「……ブログ? 」
「冗談だよ! 」
「あ、そっか。はは」

 こんなに待たせておいて、帰っていい?なんて言い辛かった。

「ん、じゃあ、どうする? 」
 
 だけど、栄司の事が気にかかっていた。