おともだち

 ――いよいよ金曜日になってしまった。

 朝に栄司が出勤しているのは確認していた。
 出来れば会った時に週末どこかで会えない?って軽く声をかけられたらいいなと思ってる。もしかして、今日は小柴さんが栄司を誘っているかもしれないという不安でいっぱいだ。もし、小柴さんが今日栄司に告白したとしても、私は私で栄司に気持ちは伝えなくちゃ。

 体調は万全になったものの、緊張で食欲はあまりない。今から緊張してたら持たないよ、ダメだ。しっかり食べよう。ここ最近夜もそんなに食べられてないんだから。夜は加賀美くんと会うし、楽しまないと。そう思って昼はコンビニをやめて外で食べることにした。

 あまり重くないものを食べよう。そう思うと、最近自炊出来てないことを思い出し和食の店に向かった。
 五穀米とおばんざいのランチを取って健康を取り戻した気になった。

 前に栄司と小柴さん三上さんと行ったお店も美味しかったけど、今栄司が誰かと一緒にいるのを見るのは決心が揺らぎそうで、職場から少し離れた店を選んでしまった。一人だとさっと食べられるから休憩時間内に間に合うし。

 
 会社へ戻る道、見知った後ろ姿を見つけてハッとなる。後ろ姿でもすぐに見つけてしまう相手――栄司だ。横には女の人がいる。小柴さんより背が高い。三上さんかな、とホッとするが。横顔が見えてそうじゃないことが分かった。見覚えがあるけど、誰だろう。誰だっけ。栄司の部署(マーケティング)の人かな……。二人の会話が所々聞こえて来た。

 
「やー、イケメンでも告白――――」
「りっかちゃん、面白い子だね。――――――――――――――」
「は? はい。さぁ。週末のためにお仕事! 頑張ります! 」
「……うん」

 栄司はその人を目で見送ると、ふっと顔を緩ませた。