おともだち

「まぁな。でも、年々難しくなってきてる。そうそう出会いが無いというか、いいなぁって思う子ってだいたい相手いるし、そもそもいいなって思える子にもなかなか出会えない。やっぱさ、学生時代から相手見つけといて3年付き合って結婚するのがベストっていう先人の知恵は正しかったなって身にしみてるとこ」
「はは、先人の知恵って」
「よく言われなかった? 先輩とか親戚のおじさんとかに学生のうちに結婚相手探しとけよって。学生から社会人になったら生活リズム整えるだけでも必死で、仕事に必死でプライベートなんてお互い2の次じゃん。それをわかってくれる恋人ってそれまでに人間関係構築出来てる相手だったりして。学生時代からの相手ってお互いに社会的地位とか背景で判断しない、同志って感覚あるだろ? 仕事も慣れて落ち着いた頃に結婚て、確かにタイミング的にはベストだなって」
「余裕が出来て、結婚考えられるってことか。私の友達もそろそろ結婚考えれる相手が欲しいって言ってたな」

 ふと奈子の事を思い出した。私はまだその人間関係の構築すら出来たことは無いんだけど……。
「新たに探すとなると、なかなかなー。感情的にも、条件とか色々考え過ぎちゃって。あれ、恋人ってどうやってつくるんだっけ? ってなってくる」
 今から“結婚相手”を探すのが難しいことくわいは私でもわかる。

「年々シビアだよね」
「ははは! あ、もうこんな時間か、行こうか。全然話し足りないけど」
「あ、ほんとだ」

 もう少し話したいという感情は私にもあった。人の恋愛観を聞くうちに自分の恋愛にも何かヒントになりそうな気がして。

 
「行くか、夜にでも」
「うん。私ももう少し話したかったな、今度は……」

 今度は当初の予定通り栄司も、と言おうとしたが、恋愛話をするのに栄司も一緒にというのはどうなんだろうか。