「あ、え、あの、今度は二人で行く予定をしていて……」
予想はしていたことで特段驚かないが、『決まったら教えて』は俺も誘われてるってニュアンスに取られたか。加賀美としては元々俺なんて誘ってないわな。前のは、俺がわかってて空気を読まない感じで割って入っただけだ。気まずそうな多江に白けて来る。
「うん。いいんじゃない? だから、決まったら教えて」
「……わかった」
さぁ、どうするかな。
「じゃあ」
会社に着くと多江にはエレベーターを勧め、自分は階段へと向かった。少し頭を冷やしたかった。ただの嫉妬心で大人げない態度を取ってしまいそうだったから。――長期戦、とか言ってる場合じゃなくなった。何か嫌な感じがした、そんな予感が当たってしまった。
しかも相手は加賀美。気持ちが動いてしまう、というか、はなから加賀美に向いている場合。不意に長い片思いの相手が目の前に現れた場合、どうなるんだろう。大人になって俺が知ってる加賀美よりずっと魅力が増している気がした。
俺の好意は一度、多江に伝えている。振られたけど。
振られた理由は、付き合うことに向いていないから。俺とは求めるものが違った。だけど、俺に好意があれば、関係も変わっただろうと思う。求めるものが違っただけじゃなく、俺に気持ちが無かった。
――今はどうだろう。週に2度は会っていて、それも多江からの誘いだ。この『付き合っていない』関係が居心地がいいってことか。俺の事は悪くは思っていない。――好きではないけど。
これが今の関係。現れたのはかつて、もしくは今も好意を抱いていた相手。かつ、今は向こうも多江に好意を抱いている。
さぁ、どうする。
予想はしていたことで特段驚かないが、『決まったら教えて』は俺も誘われてるってニュアンスに取られたか。加賀美としては元々俺なんて誘ってないわな。前のは、俺がわかってて空気を読まない感じで割って入っただけだ。気まずそうな多江に白けて来る。
「うん。いいんじゃない? だから、決まったら教えて」
「……わかった」
さぁ、どうするかな。
「じゃあ」
会社に着くと多江にはエレベーターを勧め、自分は階段へと向かった。少し頭を冷やしたかった。ただの嫉妬心で大人げない態度を取ってしまいそうだったから。――長期戦、とか言ってる場合じゃなくなった。何か嫌な感じがした、そんな予感が当たってしまった。
しかも相手は加賀美。気持ちが動いてしまう、というか、はなから加賀美に向いている場合。不意に長い片思いの相手が目の前に現れた場合、どうなるんだろう。大人になって俺が知ってる加賀美よりずっと魅力が増している気がした。
俺の好意は一度、多江に伝えている。振られたけど。
振られた理由は、付き合うことに向いていないから。俺とは求めるものが違った。だけど、俺に好意があれば、関係も変わっただろうと思う。求めるものが違っただけじゃなく、俺に気持ちが無かった。
――今はどうだろう。週に2度は会っていて、それも多江からの誘いだ。この『付き合っていない』関係が居心地がいいってことか。俺の事は悪くは思っていない。――好きではないけど。
これが今の関係。現れたのはかつて、もしくは今も好意を抱いていた相手。かつ、今は向こうも多江に好意を抱いている。
さぁ、どうする。



