お母さんが運転席に乗り
車は走り出した。
新しい高校、新しい制服。
一から始まる気がして
少なからずわくわくしていた。
お母さんは運転が下手だからか
時々車が左右に揺れるときがある。
…慣れたけど。
隣りの優輝を見ると
口元を押さえていた。
優輝は何にでも酔いやすい子で
多分、まだお母さんのフラフラ運転には
慣れてないんだろうな。
とりあえず、ふざけてみる事にした
「ニヤけてるから口隠してんの?」
あたしは、笑って言ってやった。
「ふざけんな。
優子こそニヤニヤし過ぎ
まじキモい。」
「!?姉ちゃんに向かって
キモい!?あんたねぇ!」
「あーはいはい。
優子キモい。
キモいキモいキモい。」
「あんたねっ…!!!」
「あははは!もー!2人共ケンカはするな!」
お母さんが笑いながら
ケンカを止めてきた。
「はぁい…。」
「………ん。」
優輝は相変わらず無表情だった。
…冗談通じないこいつに
友達出来るのか…。
