「…優輝ー」
「何。」
「ありがと。」
「何が。」
「イヤ、ジャラ男とか…」
「は？…ジャラ男？」
はっ、いけないいけない。
口が滑ってしまった。
「…いや…
さっきの先輩とか。」
「………。」
優輝はあたしの言う事を
シカトして、淡々と足を進める。
「優輝～…。」
「あ？」
「ヤキモチ焼いたりした？」
「なにが？」
「だから、さっきの…」
ジャラ男達に。と、言いかけた瞬間
手が離れ優輝は止まった。
「…？」
「着いた。今なら間に合うから
早く入れよ。」
「…お。」
上を見ると、" 1‐F "とある。
知らないうちにＦ組に着いていたのだった。
「…クラス近くだし
なんかあったら呼べよ
じゃあな。」
「あ、うん。ばいばい…」
優輝の早口に、
頭が追いつかないまま
手を振る。
急いでいるのか
優輝を含め教室の周りにいた
他の新入生が早足で
教室へ入って行った。
皆が入り終わったけど
優輝は教室に入る手前で
「あ、それと」と
あたしに言った。
「ヤキモチとかないから。」
そして、口パクで
「き・も・い」
ペロッと下を出して
優輝は早速と教室へ
入って行った。
…あ…あ…あぁぁぁああ！！
あいつは死刑じゃぁぁああ！！
さっき見とれていた自分が
本当に馬鹿だと思った。
