S h o u t !‐叫べ‐





「あ…。」


「バカじゃね?

何してんの。」




「ゆ…優輝………」



これじゃまるで

ドラマの中のヒーローだ。



チャラ男とジャラ男は

不思議そうな目で見ていた。


「誰、こいつ?

もしかして彼氏だったり~?」



「あ、イヤ…あたしの」


説明を、優輝が遮った。


「双子の弟です。

行こう優子。時間ない。」

そう言って優輝は

あたしの腕を掴んだ。


「……っ…」


よほど怒っているのか

腕を掴む力が強くて

痛かった。




「双子!?まじで!?」

なぜかジャラ男は

興奮している。



「おい、誠斗!」

「あはっゴメン。

じゃあまたね

優子ちゃん。」



ジャラ男は、ちゃっかり

あたしの名前を

覚えてしまった。

チャラ男はジャラ男を

叱っているトコからして

意外としっかりして

いるようだ。



優輝は無言で

あたしの手を引っ張る。



ジャラ男達も遠くなり

さっき来た保健室を通りすぎると

違う廊下があった。


こっちにも道、あったんだ?

階段の下を通った時に

見逃していたんだ。



というか、それよりも

優輝と手を繋ぐ事なんて

めったに無かったから

少し違和感があった。




ドアがいっぱい並ぶ校舎を抜けていく

多分、東校舎なんだろう。

ふと優輝を見ると

軽く汗をかいている。

走って来てくれたのかな。




学校独特の匂い

誰もいない廊下


あたしは馬鹿みたいに

弟に見とれていた。