「ねー、聞いてる~?」
「誠斗、びびられてるって。」
「いーから。ねっ、名前は?
何組なの~?先輩が
案内してやろっか!」
ジャラ男の顔が
段々近付いて来る。
後退りをしようにも
既に玄関のドアに
ついてしまっていた。
「イヤ…結構です…」
そう言うのが精一杯だった。
「誠斗~、この子めっちゃ
泣きかけじゃんか。
帰ろうぜ。」
「可愛い獲物は逃す気
ありませんっ。
ねー、名前は?」
「……ゆっ……優…「優子」
あたしの声と
誰かの声が重なった。
間近だったジャラ男の
顔が離れて
あたしは声の方を見た。
チャラ男Aも
声のする方を見ていた。
