☆ネット恋愛と音楽の物語☆Sepia Color Filter~セピア色の今~

 その顔はあたしの記憶から消してしまいたい人達のものだった。

 贔屓(ひいき)ばかりする大嫌いな先生の顔だったり、かつてあたしを苦しめたいじめっ子達の顔だったり、あたしを捨てた母親の顔だったりした。

 みんな口々に何か呟いている。

 距離が近付くにつれ、その声は輪郭を帯び、やがて一つの形をくっきりと誇示(こじ)する。

 「ほら、どうした?はやく飛んでみろよ」