あたしは階段を登っている。

 今にも崩れ落ちそうな錆びれた鉄の階段。

 ニューヨークのダンタウンにあるような安アパートビルの裏に設置された剥き出しの非常階段。

 真夜中なのか、当たりは真っ暗で静まり返っている。

 あたしにはまだ何が起こったのかわからない。

 あたしに出来ることはただ頂上に向かって進むことしかない。

 あたしはこれまでと同じ様に一歩一歩を誇らしく踏みしめる。

 「上」には栄光が待っているのだ。