帰国した空港では沢山の報道陣が待ち構え、成功者であるあたしにコメントを求める。

 “世界最高峰チョモランマ史上最年少最短登頂記録樹立”
 
 メディアは挙ってあたしの栄誉を称(たた)える。

 誇らしく翻(ひるがえ)る旗の横で照れ臭そうにポーズをとるあたしの写真が全世界にばら撒(ま)かれる。
 
 その光景をあたしははっきりと頭に描くことが出来る。