やがてシルヴァンは日本の大学で教授に就任し、沙織が失踪した当時何かと二人の面倒をみてくれていたアメリカ人女性、デボラと再婚する―――
 
 そう、それが今のあたしの母親。父と同じ大学で英語を教えている。
 
 母はあたし達とは苗字が違う。彼女の意向で夫婦は別姓にしたらしい。

 彼女からは特にフェミニスティックな匂いは感じないけれど、独立心の旺盛さは息苦しいほど伝わってくる。