☆ネット恋愛と音楽の物語☆Sepia Color Filter~セピア色の今~

 口元を伝いそうになる涎(よだれ)を吸い戻し、念の為に手の甲で拭った。
 
 我に返る為にもう何もためらわずに頭を強く振った。
 
 それでやっとこっちの世界に帰還することが出来た。
 
 今まで聞いたことのない音楽が冬音のノートパソコンのチープなスピーカーをダイナミックに震わせている。
 
 冬音は生まれてはじめて音の渦の中に巻き込まれ堕ちていく快感を知った。