☆ネット恋愛と音楽の物語☆Sepia Color Filter~セピア色の今~

 ビートがこれ以上ない完璧なタイミングで完璧な回数を刻み終えると、一瞬恐ろしく固体濃度が高い生ぬるい液体の中に体が浮ぶ。
 
 と同時に意識的に作り出された人工的な無音によって浮かび上がる音の残像が機械的に奏でる架空の和音に頭が支配される。
 
 殻を破った最後の一撃で彼の嘴(くちばし)は初めて外界に触れ、この世界に誰のニュースにもならないほんの些細(ささい)な衝撃を与える。