「今はわかったの？」
　
　「わかったというか、新しい扉を開けたくなった。
彼らがＳだとちゃんとわかるまでに俺が抱えてた葛藤みたいなものは、彼らと会った瞬間に綺麗さっぱり消え去ったんだ。
Ｓのメンバー達は過去に決着をつけようとしてたわけじゃない。
彼らはただ前を見てちゃんと進み続けてたんだ。
彼らはずっと歩き続けてた。
たまたまその道の途中で俺やかつてのファン達と再びリンクする瞬間が訪れただけだ。人生は点じゃなくて線で繋がってるものなのに、俺は時々そのことを忘れてしまう。
人生を今という瞬間からの景色だけで計ろうとしてしまう。
そのくせ余計な過去だけはちゃんと線で引きずってるんだ。
ご苦労なこった。
俺は俺の為に奴らと組んで自分の新しい扉を開けるんだ。
過去なんて関係ない。
どうせ今だってすぐに過去さ。
あれ、なんか矛盾してるな……。
まあいい。とにかくそんな感じだ」