「多分」と涼太は続ける。 「放棄するには彼にセンスがありすぎたんだよ。 言葉を心に響かせる才能を神様が与えてしまったんだ。 それが本人にとっては邪魔でしかたなかった」 涼太は窓の外に視線を移す。 例の記憶を手繰(たぐ)る視線だ。