「お前ヤツれたな。どうした?」

 どうしたもこうしたもない、と怒鳴りたかったがそんな力も出なかった。

 「Sのライブが決まったんだ。今日はチケットを渡しにきた」
 
 目の前に差し出された紙切れを無感情に見つめる。

 これも夢なのか現実なのかうまく把握できない。

 いや、もう何もはっきりしたくなんかなかった。

 全てがあたしのキャパを超えている。