夕日が沈んで辺りはすっかり暗くなった。
 
 ビーチグラスを探すのを諦めて顔を上げると砂浜にはあたし一人しかいなかった。
 
 さっきまで測った様に等間隔に座って寄り添っていたカップル達の熱も、まだ冬の面影を残す海辺の寒さには勝てないみたいだった。
 
 あたしは貸切になったビーチの真ん中に座って闇に溶けかかった紺色の海を眺めた。
 
 膝を抱えて座るとセンチに拍車がかかってしまって、また意味もなく泣きそうになった。
 
 鞄からiPodを出してイヤホンを耳に突っ込んでフルボリュームにした。
 
 なるべく景気のいい曲をセレクトして色んな思考を遮断する。