Sに動きがあった。
  
 “ネットのカリスマバンドいよいよメジャーデビューか?!”
  
 チープな見出しは全てのポータルサイトを網羅していた。
 
 記事によると、大手レコード会社と彼らの事務所が提携してこれからの戦略を練り始めていると書かれていた。
 
 契約ではなく提携としているところに涼太のなんらかの意図を感じた。 
 
 今まで以上にネット上ではSに関するあらゆる情報が駆け巡った。
 
 涼太の緻密な戦略の上、最低限の人数で秘密裏にアクションを起こしていたのだ。
 
 全ての情報はデマだと見ていいと判断した。
 
 しかし一つだけ無視できない言葉が冬音の心を捉えた。