☆ネット恋愛と音楽の物語☆Sepia Color Filter~セピア色の今~

　恐ろしく小さな芋虫が自分の鼓膜（こまく）をバリバリと少しづつ確実に侵食していく。
　
　そんな映像が前頭葉の真ん中辺りに突然浮かび上がり、リアルかバーチャルか判別不能の鳥肌と汗に全身がうっすらと覆われる。

　あまりに洗練された音の変化のグラデーションの中で脳の思考と反応と認識の起動が追いつかない。
　
　誰かに直接的に脳を操作されている様な感覚だ。
　
　その指先は躊躇いなくそして容赦なく脳の襞（ひだ）を直に愛撫し続ける。
　
　まるでその形状を手触りで確かめ自分の脳の価値を査定されているかの様に。
　
　しかしその手付きはハープでも奏でるかの様に華麗で洗練されている。