☆ネット恋愛と音楽の物語☆Sepia Color Filter~セピア色の今~

 またその気配は決して友好的なものではなかった。
 
 約束の時間に遅れたお詫びに買った花束を優しく抱えた恋人の急ぎ足の靴音、といった種類のものではなく、自分の頭上に振り下ろされる予定の金属バットをアスファルトに引きずりながら暗闇の中を誰かがゆっくりこっちへ近づいてくる。
 
 そっち系の空気だ。
 
 しかしなぜか不快ではない。

 むしろ、体は意思に関係なくその先にある結末を急かし求めているような……