「…っな!?堀越先輩!?」
突然のことに美桜が慌てていると、夏樹がそのまま横断歩道を渡りながら、美桜を見下ろして言った。
「そいつが誰なのか、教えてくれるまでこのままだからな。」
――先輩、ちょっと怒ってる?
夏樹の表情からは、静かな怒りのようなものが感じ取れた。
しばらく二人で無言で歩いていたが、夏樹が「あ。ここだ。」と言って立ち止まった。
夏樹が目を向けている方を見ると、キラキラ光るガラス照明で照らされた雑貨が並ぶ店舗があった。
全面ガラスになっているので店内がよく見える。
店内の照明がガラス面を通して歩道に柔らかく差し込んでいた。
「わぁ、かわいいお店…。」
美桜が呟くと、夏樹が「入ってみる?」と聞いてきたので、美桜はコクコクと頷いた。



