聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「まぁ、それもあるけど、レースちゃんと話したいことがあったのもホント。」


「え、そうなんですか?何ですか、話って。」


「さっきの話で出てた、レースちゃんのタイプの男って誰?」


「はい?」


「ほら、聖人君子な男がいるって言ってたじゃん。そういうやつがタイプなんでしょ。誰だよ、そいつ。中学の時にいたの?それともウチの高校にいるの?」


「あー…えっと、それは…」


美桜が何と言おうか悩んで目を泳がせていると、信号が青に変わった。


するとまた、夏樹が美桜の腕に自分の腕を回してきた。
そして、そのまま美桜の手を取り恋人繋ぎをすると、自分の方にグイと美桜を引き寄せる。


自然と、美桜と夏樹の距離が縮まった。