聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「さて、俺はちょーっとレースちゃんと話す事があるから二人でもう少し寄り道して帰るよ。じゃあな。」


そう言うと、矢嶋と菜々の二人を残したまま、夏樹は駅とは反対にある繁華街の方面へ歩き出した。


「え!?…あ、矢嶋先輩、ななちん、またー!」


美桜は、夏樹に腕を引かれるままに歩きながら、振り返って二人に手を振った。


菜々と矢嶋が、手を振り返してくれたので、美桜は前を向き、夏樹と並んで歩いた。


しばらく夏樹にリードされながら歩くと、次の交差点で信号待ちになったところで腕を離された。


「先輩、気がききますねぇ。ななちんと矢嶋先輩を二人っきりにする作戦でしょ?進展あるといいですね。」


美桜がニシシッと笑いながらそう言うと、夏樹は美桜を横目でちらっと見てから言った。