聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「えっ!?わ、私ですか?」


まさか自分に話題が振られるとは思っていなかったのだろう。
菜々は驚いて一瞬身を固くしたが、3人に視線を向けられ、観念したようにしてポツリと呟くようにして答えた。


「や、優しくて話しやすい人です…。」


そう言って菜々は俯いた。


夏樹は、へえ、と言ってちらりと矢嶋に目を向けてから言った。


「優しいって言ったら、こいつはその条件満たしてるよ。そのせいで、女子にもモテるしなぁ。」


ニヤニヤしながら夏樹が言うと、矢嶋は「やめろって。橋本ちゃんが気ぃ使うだろ?」と慌てて制した。


美桜は、紙カップから出ているストローを咥えてジュースをすすりながらチラッと菜々を見た。


人見知りが爆発して、恥ずかしそうに俯いている。


美桜は話題を変えることにした。