爆笑する夏樹に向かって、美桜はムッとした表情で「なんで笑うんですか!?」と文句を言う。
笑い終わった夏樹は、可哀想とでも言わんばかりの表情で美桜を見つめて言った。
「だってさ、聖人君子な男なんてこの世にいるかぁ?レースちゃん、少女漫画の読み過ぎじゃね?」
「いますぅーいたんですぅー実際にぃー」
美桜はムキになってそう返したが、夏樹に「いたの?どこに?」と言われてハッとした。
じっと夏樹に見つめられ、美桜は一瞬固まる。
まさか『理想の聖人君子な男』が、夏樹本人(の過去)だとは言えない。
美桜はしばらく夏樹と目線を合わせたまま言葉を選んでいたが「…お、教えません!!」と言って、プイッと横を向き、誤魔化した。
「なんだよ、それ。」
夏樹は面白くなさそうに体勢を戻して椅子に座り直すと「じゃあ次、橋本ちゃん。好きなタイプは?」と菜々へ質問した。



