「もしかして、ななちん、相良くんのこと――」
美桜がそこまで言ったところで、菜々はますます顔を真っ赤にさせて顔の前でブンブンと手を振って否定した。
「ま、まさか!好きだなんて、そんなおこがましい…!」
「いや、人を好きになるのに、おこがましいとかないでしょ。」
そう言うと、美桜は菜々に向き合うように体勢を変えて言葉を続けた。
「好きなものは好きって言っていいんだよ。タイミング逃して言いそびれたら、後悔しか残らないんだからね。」
美桜がそう言うと、菜々はふんわり笑った。
「確かにそうだね。…ありがとう、美桜ちゃん。」
菜々の髪が風に揺れている。
木漏れ陽も受けて、いつも以上に柔らかな雰囲気を放つ菜々は、美桜の目にとても印象的に映った。
――矢嶋先輩のこともあるから、少し後ろめたいけど、私はななちんが幸せになればそれでいい。相手が誰であっても、私はななちんを応援してるからね。



