美桜は一瞬、固まった。
何度か読み返してみたが間違いない。


――名前呼び!?いっつもレースちゃんって呼ぶのに。


美桜はボボボっとまた顔が赤くなるのを感じた。


そして返信する前に、またメッセージが届く。


『裕貴と橋本さんの件でも引き続きよろしく』


最後に『よろしく』のスタンプが送られてきた。
殿様の格好をしたクマが、座布団に座って頭を下げている。


――こんなかわいいスタンプ使うんだ。


今日は改めて、夏樹の色々な面を知れた一日だった。


――なんだろ。この、心がポカポカする感じ。


電車に揺られて外の夕陽を眺めながら、美桜は夏樹への返信メッセージをゆっくり考えることにした。