「橋本さんは彼氏いるの?」
夏樹はケーキを再び口に運びながら質問してきた。
美桜は紅茶を口に運んでムースを掬いながら「いやー、中2の時に別れて以来いないですねぇ。」
それも確か1、2ヶ月で別れてましたけど。と美桜が言うと、夏樹はへぇ、と驚いた様子を見せた。
「意外。正直、あんまり男と関わらなさそうだから。」
「そうなんです。でもその時は男子側がどうしても付き合いたいって押して。ななちんは、もともと男子は苦手だったんですけど、それでもいいって言われて付き合ってました。でも結局、2人でいる時もお互い緊張してあんまり喋れなかったりで、続かなかったみたいですよ。」
美桜が一通り説明すると、夏樹はなるほど、といった様子でゆっくり頷いた。
「ちなみにレースちゃんは彼氏いるの?」
「へ?いないですよ?」
「…そっか。」
夏樹からの唐突な質問に美桜が思わず答えを返すと、夏樹は満足そうな表情をしてみせる。
ーーなんで私のこと聞いたの??
またもドキドキしながら美桜は夏樹を見たが、何事もなかったかのように夏樹は話を続けた。



