聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「じゃあ、また作ったら、俺にくれる?」


「へ!?」


「いや、お世辞抜きで美味かったんだよ、レースちゃんが作ってくれてたお菓子。」


「で、でもっ!先輩、しょっちゅうもらってるんじゃないですか?手作りお菓子なんて。」


ドキドキしながら美桜がそう言うと、夏樹は涼しい顔をして言った。


「本命の子からもらわないと意味ねーじゃん。こういうのは、誰からもらうかが、大事だろ。」


ーー本命!?


思わずドキッとした美桜の様子に気付いてないのか、コーヒーをまた口に運びながら、夏樹は何事もなかったかのように「あ、そう言えば」と言って言葉を続けた。