聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「ありがと。さて、食べますか。」


「はい!いただきまーす!」


美桜はそう言って、さっそく桃のムースにスプーンを入れた。
小さく切られた桃の果肉とムースを一緒に口に運ぶと、桃の香りが口いっぱいに広がった。


「ん〜、美味しい〜」


美桜がそう言うと、夏樹は美桜の様子を見て嬉しそうに「よかった」と言いながら、自分のケーキをフォークで切って、口に運ぶ。


「うん、うまい。」


夏樹はそう言って、もう一度ケーキを切ってフォークで刺すと、そのまま美桜の正面に持ってきた。


「レースちゃんも食べてみな。美味いから。」


「え!?いいんですか?」


美桜が聞くと、夏樹は頷きながら「うん、ほら早く食べないと落ちそう」と言った。


美桜は慌てて、差し出されたケーキを食べた。


ほのかに桜の香りがする。ピスタチオの味もした。