聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「え、なんで?遠慮しなくていいって。昔はよく遊びに来てただろ。」


「昔は、ですね!今はもう高校生ですよ!?そんな軽々しくお邪魔できませんって。」


「そうか?…まぁいいや。うちの母親にお前のこと話したら、久々に会いたいとか言ってたから、気が向いたら遊びに来いよ。」


――え、もう親に話している、と?


「で、でも、そんな気軽に男子の家に遊びになんて行けませんよ!彼女でもないのに。」


「じゃあ彼女になる?」


夏樹が涼しい顔でそんな発言をするので、美桜は思わず「けけけけ結構です!!」と言って俯く。


「そっかぁ、ざーんねん。」


夏樹の口調は、本当に残念とは思ってなさそうに聞こえた。


――これだから、チャラ男は…。


バクバク動く心臓の動きを感じながら、美桜は目的地の駅に着くまで、俯いていた。