聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



「ごめんな、遅くなって。待った?」と言った。


「いえ!全然、大丈夫です!」


緊張のあまり、必要以上に大きな声で返事をしてしまった。


夏樹は、あははっと笑いながら「元気だな!じゃあ行くか。」と言って改札へ向かった。


ICカードをかざして改札を抜けながら、美桜は「どこに行くんですか?」と尋ねた。


夏樹は振り返って、ニヤッと笑うと「桃のデザートが食べれる、俺の秘密の場所」とだけ言ってスタスタとホームに向かって歩いていく。


階段を降りる夏樹に続いて、美桜も階段下まで降りた。


ちょうどホームに入ってきた電車を指さして、夏樹が「乗るぞ」と言ったので続いて乗り込んだ。