「…もしかして、ヤキモチ焼いてる?」
きれいに整ったパーツ。まっすぐ美桜の目を見てくる夏樹と目を合わせられず、目を逸したまま、美桜はポツリと呟いた。
「いえ、決してそんなことは……」
「だって、さっきから俺の女事情ばっかり気にしてるように聞こえるんだけど。」
――た、確かに。
「すみません、踏み込んだ質問ばかりで。もうしませんので…。」
「いや、謝って欲しいわけじゃないんだけど。そんなされるとちょっと寂しいんだけどな…。」
そう言うと、困った様子で美桜の腕を離した。
そして美桜に向き合うと、目を合わせない美桜に構わず夏樹は言葉を続けた。
「たぶんレースちゃん、俺のこと勘違いしてると思う。俺、そんなに女たらしじゃないからな。誰でも簡単に褒めたりしないし、デートの話だって、よく友達に頼まれて頭数合わせ程度に行くだけで。」
「…でも、みなみ先輩とは二人っきりでデートしたことあるんじゃないんですか?」
美桜が夏樹をチラッと見て尋ねると、夏樹がニヤっと不敵な笑みを浮かべて「知りたい?」と言った。



