「えー、誰待ってるの?また女ー?」
――『また』女!?
「誰だっていいだろー?」
「えー、つめたいなぁ。まぁいいや。また今度デートしてねー」
――『また今度』デート!?
「はいはい。またなー」
そう言って、夏樹が手を振ると、その女子生徒も手を振って帰って行った。
――堀越先輩がしょっちゅう色んな人とデートしてるって噂、本当だったんだ。やっぱりチャラい…。
そう思いながら見ていると、視線に気付いたのか夏樹がちょうどこちらに目を向けてきたのでばっちり目があってしまった。
「何やってんの、レースちゃん。」
ははっと笑いながら夏樹が言った。
「あー、会話の邪魔をしたら悪いなと思いまして…」
美桜が遠慮がちに夏樹に近づくと、夏樹はまたククッと笑って言った。
「なんか、うちの猫みたいでウケる。」
「ねこ!?」
「そ。拾ってきた猫を飼ってるんだけど、最初の頃はめっちゃ警戒心強くて。さっきのレースちゃんみたく、よく物陰からジーッとこっち見てたりしたんだよね。遠慮がちに俺に近づいてくる感じもそっくり。久々にそれ思い出した。」
「そ、そうですか…。」
「まぁ、つまりはかわいかったってこと。」



