聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



放課後


美桜は18時まで自習スペースで過ごし、片付けると図書室を後にする。


自習スペースでの勉強は集中できてとてもいい。


今日もかなり捗った。


だが、今日は17時半を過ぎた頃からそわそわして最後の方はあまり集中できなかった。


――この後、堀越先輩と会うんだよね。


そう考えるとなんだか緊張してきた。


――話したいことってなんだろ。


靴箱の方へ向かって歩きながらぐるぐると考えを巡らせていると、靴箱の方から話し声が聞こえた。


「夏樹ー何してるの?」


「おー、ちょっとな。人待ち。気をつけて帰れよー」


――堀越先輩の声。誰と話してるんだろ?


美桜は靴箱の影からこっそり顔を出して声のする方を伺った。


靴箱があるドアから出てすぐのところに立っている夏樹が下校しようとしている女子生徒と話しているのがガラス越しに見えた。


みなみとは違う、別の女子生徒のようだ。