聖人君子のお兄ちゃんが、チャラ男になったなんて聞いてません!



夏樹はそんな美桜の様子を見て、ニヤっと笑うと「俺、今日は陸上部の練習が18時まであるから、その後一緒に帰ろうぜ。話したいことあるし。」と言った。


「へ!?いや…えっとぉ…」


――夏樹先輩と一緒に帰る?なんで!?話したいこと!?何!??


大混乱の美桜の様子を見て、夏樹は「あ、もしかして用事ある?」と尋ねた。


反射的に美桜が「いや、無いんですけど、でも…」と言うと夏樹はにっこりして言った。


「じゃあ決まりな。そこの靴箱あたりで待ち合わせで。じゃっ」


そう言って夏樹は、握ったままだった美桜の腕を離すと、ポンポンっと美桜の頭を優しく叩いて去っていった。


美桜は何が起きたのか一瞬分からず、その場にしばらく呆然と立っていた。