1度だけ、直接会いに行こうかとも思ったが、美桜の話を聞いて思い留まった。
「堀越先輩、最近全然登校してないのよー。3年の先輩達の中でも、進学する人達って、9月に入ってからは殆ど授業には出ないんだってー。ほとんどみんな、予備校で勉強するらしくてー。」
学校で会えないのってさみしー、と嘆く美桜の横で、菜々は矢嶋のことを考えていた。
予備校には、矢嶋も通っていると言っていた。
ということは、勇気を出して3年の教室へ行っても、矢嶋はいないのだから、無駄足になるだけだ。
学校で会えない上に、連絡手段も失ってしまった。
――嫌われたんだ、私。
そう思った瞬間、また涙が溢れてきた。
――気持ちの整理するの、遅すぎ。
後悔しても遅かった。もっと早く気持ちの整理ができていれば、あの日、矢嶋の気持ちに答えることができたのに。
菜々は、自分を責め続けた。
そして、このことは、仲良し4人のメンバーにも言わず、心の中にそっと閉じ込めておくことにした。



