「この前のプールも、実は夏樹が気を利かせて4人で行くようにセッティングしてくれたんだ。今日の花火大会も、夏樹から誘われてたんじゃなくて、橋本ちゃんからオッケーもらって、慌てて俺から夏樹と工藤ちゃんを誘ったんだ。橋本ちゃん、工藤ちゃんがいるなら一緒に行くって返事してくれると思って。」
――美桜ちゃんがこの前、女子会で慌てて取り繕ってたのも、そういうことだったんだ。
ようやく理解した菜々がまだ黙っているのを見て、矢嶋はまだ話を続ける。
「突然、告白なんてして、ごめんな。でも、そろそろ気持ちに区切りつけないと、受験に集中できないし、今日言おうって決めてたんだ。…まぁフラれるって分かってたけどね。」
矢嶋が寂しそうに笑う顔を見て、菜々は絶望した。
矢嶋は菜々にフラれる前提で、今日の一日を過ごしていたのだ。



