4人は食事を終えると、花火が見える場所まで移動することにした。
ふと、出店の商品が気になり、立ち止まると、それに気づいた矢嶋が、戻ってきた。
「何か気になるの、あった?」
「ちょっとだけ。ブレスレット、可愛いなーと思って。でもいいです。」
行きましょ、という菜々を、矢嶋が引き止めた。
「いいよ、見ていこ。」
そう言うと矢嶋は、先に進んで振り返ってこっちを見ている夏樹に、合図を送って、先に行くよう促した。
「すみません、気遣っていただいて。」
菜々がそう言うと、矢嶋が「いや」と言って言葉を続けた。
「俺が橋本ちゃんと一緒に見たかっただけだから。あ、でもアクセサリーだから工藤ちゃんと見たかった?」
気が利かねーな俺、と呟いた矢嶋を見て、ふるふると頭を振る。
「いえ、嬉しいです。」
「そう?ならよかった」
そう言うと、矢嶋も嬉しそうに笑い返した。
アクセサリーが並ぶ中で、菜々は1つ1つじっくり眺めながらどれを買うか悩んだ。
「んー、どれも可愛いなぁ。」
「橋本ちゃんは、何色が好きなの?」
「黄色とかオレンジとか、暖色が好きですね。」
「お、いいね。帯も黄色だもんね。橋本ちゃんに、よく似合う色だと思う。」
「そうですか?嬉しい!ありがとうございます。」
へへ、と照れ笑いしながら菜々は御礼を言った。



